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非行や不登校とどう向き合うか⑤高卒認定合格から早稲田大学へと進学

塾長のコラム

非行や不登校とどう向き合うか⑤高卒認定合格から早稲田大学へと進学

 

(※前回の記事はこちら

 

K君と初めて会ったとき,その落ち着きぶりに感心した。
聞けば,現場作業員としての仕事を3年間まじめにしているという。

 

 

進学したいと考えた理由がおもしろかった。
何でも,コンクリートの発注を任された時,体積の求め方が分からずとんでもない量を発注してしまったらしい。
その時に,「こんなことすらできないようではダメだ」という思いを抱いたそうだ。

 

 

恐らく,仕事をしたり年齢を重ねたりする中で多くの経験や失敗を重ね,また,大人社会の付き合いの中で,自分の将来を考えるようになったのだろう。

 

 

K君にとって幸いだったのは,両親がどっしり見守ってくれていたこと。
親が頑張りすぎるあまり,かえって親子関係に亀裂が入るケースが多いが,K君の場合は両親がよき味方だったのが大きい。

 

 

私の持論として,荒れる子どもが落ち着くために必要なキーワード。
それは「年齢」「社会経験」だとよく話している。

 

 

年齢というのは18歳がひとつのターニングポイントで,その頃になると,就職,進学,結婚など,同級生たちの環境が大きく変わっていく。

 

 

それまでは,「学校に行っているかどうか」くらいしか違わなかったのが,大きな違いができてくる。
それに加え,「もう18歳だから…」という若者特有の価値観があり,18歳にもなってこんなことをしているのは恥ずかしい…などそれまでと大きく価値観が変わってくるのだ。

 

 

もう一つのキーワード,社会経験について。
私は働くことはもちろん,ネット・ゲーム三昧という自堕落な生活を送ることも,非行少年であれば何か失敗して鑑別所や少年院に入ることも,全て貴重な社会経験だと考えている。
いろいろな人に出会い,失敗し,時には何もせず引きこもることも,長い時間をかけて肥やしとなり,やがて将来のことを考えるようになる。

 

 

年齢と社会経験が一定水準に到達すると,5年後・10年後のことを考えるようになる。

 

 

周りにいる大人は,その時がくるのをどっしり待つことも必要ではないだろうか。
自分の将来に向けて一歩踏み出そうとしたときに,それを相談できる相手が必要になる。
もちろん,その相手とは親だろう。
その時に相談できる信頼関係,親子関係があれば後は背中を押してあげればよい。

 

 

「ここで引き止めなければ」と思い込みすぎるあまり,身体を張って止めようと躍起になりすぎたりあれこれと選択肢を提示しすぎたりすると,かえって子どもの可能性を閉じてしまう。

 

 

K君の親御さんは,それを理解し,その通りに接してくれた。
K君はその後,高卒認定試験に一発で合格し,1日14時間の猛勉強の末に早稲田大学へと進学した。
自らの体験をもとに,悩めるお父さんお母さんたちの前で話をすることもあると聞く。

 

 

18歳,20歳,25歳,30歳と人によってターニングポイントは異なるだろうが,必ず将来に向けて歩き出す日は来る。
その考えをこれからも伝えていきたい。

 

 

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