受験勉強 心がまえ

受験勉強を始める前の心がまえ

塾長のコラム

受験勉強を始める前の心がまえ

私が大学受験勉強を始めたのは20歳の時だが,勉強しようかなと考えだしてから実際に行動に移すまでには半年くらいのスパンがあった。

 

最初は“無知の強み”なる妄想で舞い上がったが,いろいろな人の話を聞くなかで現実的なことを考え,最終的には冷静な気持ちで自分にGoサインを出した。

 

最初は“中卒の自分が大学生になるという未来”を想像するだけでテンションは上がった。
友だちはみんなビックリするだろうな…
母ちゃんは涙を流すだろうな…
迷惑をかけた中学の先生にあいさつに行けるな…
そんなことを妄想するだけで気持ちは昂った。

 

このころ,レンタルビデオで『だからお前は落ちるんだ,やれ』というタイトルの作品を見た。
元暴走族から代ゼミの講師になった元祖ヤンキー先生こと吉野敬介氏がモデルとなった映画だ。

 

内容はほとんど忘れたが,睡魔を克服するためにコンパスで太ももを突き刺すシーンと血尿が出るまで勉強漬けになるシーンはよく覚えている。
今のご時世には少々合わない内容だが,勉強については完全素人だった当時の私にとって「ここまでやらなければダメなんだ」という気持ちを抱かせるにはインパクト抜群の映画だった。
余談だが,のちに進学することになる國學院大学の存在はこの映画で知った。

 

だからお前は落ちるんだ,やれ
小学校時代の同級生の“真っ黒になった辞書”を見たのもこの頃だ。
「ここまで勉強したんだ!」と言わんばかりの現実の代物,そして前述の『だからお前は落ちるんだ,やれ』のおかげで自分がどこまでやるべきかをリアルにイメージできた。
だからこそ,私に勉強を教えてくれた呉服屋のおっちゃんから「2年間かかるぞ」と言われた時も,冷静に受け止めることができたのだと思う。
(同級生の辞書とか呉服屋のおっちゃんとの詳しいエピソードは自叙伝にて)
書きながら思い出したが,『偏差値29から東大へ』という本をこっそり買って読んだりもした。

 

さて,勉強を開始する前に,もう一つやったことがある。
それは,「本当にやるのか」という自問自答だ。

 

正直言って私がまともに通ったのは小学校だけだ。
中学は私立の学校に入ったが,2年生で退学になり,それ以降は遊びに明け暮れた。
高校はいろいろなところで書いてきたとおり,2つの学校で合計しても半年も通っていない。
仕事だって長続きしたことがない。

 

15歳で故郷を追い出され,帰るに帰れず働いた東京の酒問屋が約半年強,好きな時に行けたのでダラダラ続けたラーメン店の出前が約3カ月。
受験勉強直前に就いていたゲーム喫茶という裏稼業が最長で約2年。
それ以外は数えきれない仕事に就いたが,そのほとんどは一回給料をもらうだけで辞めていた。

 

つまり,学校にしても仕事にしても,もっと言えば幼少時代の習い事からスポーツに至るまで,胸を張って「ガンバッタ」と言えることは何一つなかった。
そのくせ,頭では「いつかは俺は・・・」という大きなことを考えるタイプで,典型的な“口だけ番長”だったと自覚している。

 

そんな自分が,これから大学受験という途方もないことをやろうとしている。
年齢的にもいい年だ。(20歳というのはとてつもなく重要な節目に思えた)
ゲーム喫茶という仕事には将来性はない。
だが,その時点では同級生より遥かにお金を稼いでいたし,それなりにチヤホヤされる立場でもあった。
そんなものを全て投げ捨てて,勉強一筋の生活を2年間も続けられるのか,それだけのやりがいを感じられることなのか・・・・

 

そしてある一つの結論に達した。

 

何をやってもダメだったからこそ,この勉強をやり遂げることは,全部挽回するチャンスではないか・・・。

 

「思いついたら即行動」で勉強を始めたのではない。
あれこれ考え抜いて,そのうえで行動を起こしたのだ。

 

だからこそ,仕事も遊びもやめて,ひたすら勉強だけの毎日になった。
毎日三食食べ,同じ生活リズムで過ごし,夜はしっかり睡眠をとった。
勉強は正直言えば面白いものではなかったが,苦痛ではなかった。
少々頭が痛かろうが,眠かろうが,テンションが低かろうが,呉服屋通いを休んだことは1日もない。
朝10時きっかりに呉服屋の門をくぐり,夜23時45分に帰宅した。
そうやって修行僧のような毎日を黙々と,そして淡々と送ったのだ。

 

結果的に,これが人生のターニングポイントになった。

 

さて,高校生にしても,私のような遠回り組にしても,これから受験勉強を始めようという人たちに言いたい。
高校卒業後,あるいは高卒認定合格後の進路選択は,人生の重要な分岐点だ。
その時にどういう道を選択するのか,どんな努力をしてその道を切り開くのか,その経験が,その先の何十年と続く人生の大切な礎になる。

 

意志あるところに道は開ける。

 

やるからには,本気でやろう。
一気に駆け抜け,一気に駆け上がる。
「誰が何と言おうと!」という鋼の意思をもって前に進んでほしい。

 

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