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世界の広さ,自分の小ささ

塾長コラム

世界の広さ,自分の小ささ

少し前のことだが,
フジゼミ卒業生で,同志社大学に通うI君から連絡をもらった。
「休みを利用して東京へ行き,いろいろな人に会ってくる」という。

 

私の学生時代からの盟友である小山有彦東京都議にも連絡して
食事する約束を取り付けたとのこと。
多くの人に会おうとする考え,行動力は素晴らしいではないか。
「しっかり見聞を広めておいで」と伝えた。

 

I君は学年最下位レベルの成績から一念発起し,
受験したほぼすべての大学に合格する快挙を成し遂げた若者だ。
中卒・元暴走族から早稲田大学へ進学したK君と同時期に学び
互いに切磋琢磨したことや
フジゼミOBの話をいろいろ聞いたこともあり,
「世界観を広げる」という高い意識をもって学生生活を過ごしている。
東京でさらに刺激を受けてくることを期待していた。

 

しばらくして,I君から連絡を受けた。
ちょうど東京から京都へ戻ったばかりという彼に感想を聞くと,開口一番

 

「屈辱を味わいました!!!」

とのこと。

 

 

話は小山都議との会食の日のこと。
その日,小山氏は安保法案で名を馳せた学生団体SEALDsの若者たちと対談する予定が入っていて,I君も会食前にその場に同席することになった。
SEALDsのメンバーは3名
向かって,小山氏を含めて2人の都議会議員とI君

 

対談が始まった。
SEALDsのメンバーは,安保法案に対する意見,政府与党に対する意見,小山氏が所属する民主党に対する意見など,いろいろとまくし立てた。
小山ともう一人の都議会議員が答えると,SEALDsのメンバーが反論する。
熱気をおびた討論だった。
I君はその白熱した討論を,ひたすら黙って聞いていた。
黙っていたというより,一言も意見を発することができなかったのだ。

 

議論の中身もそうだし,飛び交う用語についても,
I君からすればサッパリ分からない。
あまりに高度な内容に思えて,ただ黙って聞くことしかできなかった。

 

ようやく対談が終わった。
SEALDsのメンバーがその場を離れる際,I君に一言声をかけた。

 

 

「ごめんね。難しい話をしちゃって。」

 

 

 

 

・・・・・なんという屈辱!!!

 

そして,それに対して何も言い返せない自分に対する憤り!
ただただ,無力感を感じたI君は,
その後の小山氏との会食もほとんど覚えていないという。
そして敗北感を味わったまま京都へ帰り,私に電話してきたというわけだ。

 

電話口で彼は言った。
圧倒的な敗北感を味わい,ひたすら悔しい!という気持ちがこみ上げる。
でも,それだけSEALDsの学生はすごかった。
同世代にこんな奴がいるのかと,ショックも受けた。
自分の小ささも感じた。
どうすれば彼らに追いつけるのか。
どんな本を読めば,あそこまで堂々と議論できるようになるのか。

 

そんな彼に私がアドバイスしたこと。
本じゃない。場数だ。
知識武装しても,そういう場に出会ったことがなければ,
また何も言えずに終わってしまう。
どんどんそういう体験を積むこと。
もちろん,本やニュースに関心を持つのも良い。

 

今回は屈辱と敗北感にまみれたかもしれない。
でも,それに気づけただけで,素晴らしい体験じゃないか!
世界の広さ,自分の小ささを知ることで,
また世界観は広がっていく。
学生時代にどこまでその枠を広げるかが大事であり,
君はとても貴重な経験を積んだ。
本当に心からそう思って声をかけた。

 

もちろん,I君もそれをよく自覚していた。
「もっと世界を広めてきます」と返してくれた。

 

 

記憶が正しければ,I君は今ごろ海外へ留学している時期だと思う。
あれから数ヶ月。きっと世界はどんどん広がっている最中だろう。
一回りも二回りも大きくなった彼に会えるのが楽しみだ。

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